リードキャッシュドライバ
リードキャッシュとは、読み込みを高速化するためにデータを一時的に格納しておくメモリのことです。今回は、「キャッシュデータを使用しないように制御する」構成に該当するか否かが争われた侵害訴訟事件を紹介します(令和6年(ワ)第6010号 特許権侵害差止等請求事件)。更新前のデータが残り、更新後のデータが使用される場合、更新前のデータが使用されないからと言って、更新前のデータが読み込むことも禁止されているとは認められないとして非侵害と判断されました。
(要旨)構成要件D2-2は、「リードキャッシュドライバ」の機能に関し、サーバから読み出されたデータがキャッシュデータとして保存されている領域のうち、ある領域に対し、書き込み要求信号を受けた際には、当該「領域に対するキャッシュデータを使用しないように制御する」との構成を定めている。ここで、「使用しないように制御する」とは、文字どおり、その領域を使用しないことを意味し、当該領域に存するデータは読み込まれることがないことになる。…構成要件D2-2は、このような書き込み要求信号を受けたか否かを明らかにすることにとどまらず、書き込み要求信号を受けた領域は、以後、「使用できないように制御すること」を定めているところ、被告製品において、そのような制御がされていると認めるに足りる証拠はない。すなわち、被告製品では、既存データが更新された場合、既存データがそのまま保存されるとともに、更新後のデータが空きブロックに保存され、以後、マッピングテーブルの値が変更されるから、書き込み要求信号を受けたあとは、更新後のデータが使用されている。しかし、被告製品は、複数の環境を切り替えたり、世代管理をしたりする機能を提供しているところ(甲4ないし6)、このような機能を実現するためには、更新前のデータを使用していた環境に復元するために、当該データを残しつつ、更新後のデータを使用する構成を備えることを要すると解される。したがって、書き込み要求信号を受けた後に、更新前のデータが残り、かつ、更新後のデータが使用されるときは、更新前のデータが使用されないからといって、当該更新前のデータが、以後、読み込むことも禁止されているとは認められない。

