製造方法特許
製造方法の発明においては、その方法により製造された物まで権利範囲が及びます(特許法第2条第3項第3号)。今回は、茶の製造方法特許に対して、茶を譲渡等をしてはならない旨の差止請求権が認められなかった事例を紹介します(令和5年(ワ)第70445号 特許権に基づく差止等請求事件)。成分が特定できるのであれば、物の特許請求の範囲で権利取得すれば、異なる結果だったかもしれません。
(要旨)特許請求の範囲における「嫌気処理した後、好気処理する操作を交互に繰り返した後、嫌気処理を行った前記茶葉を原料として碾茶又は抹茶又は玉露に製造することを特徴とする」(構成要件B及びC)との文言からすれば、構成要件Bにおける嫌気処理及び好気処理は、構成要件Cの「碾茶又は抹茶又は玉露に製造する」工程(以下「碾茶等製造工程」という。)の前に行われる工程であると認められる。…以上によれば、構成要件Bにおける嫌気処理及び好気処理については、碾茶等の製造工程における茶葉を蒸す作業以前の段階において行われるものを指すものと解するのが相当である。そこで、これを被告方法についてみると、被告方法においては、上記アのとおり、嫌気処理を行い8時間静置した後、蒸熱、散茶、碾茶炉での乾燥の工程を経て、仕上げ加工の工程が行われており、原告が嫌気処理であると主張する上記ア(イ)⑪の窒素ガス充填は、茶葉を蒸す作業に相当する「蒸熱」(本件明細書【0019】における「蒸煮」)の工程よりも後に行われていることが認められる。そうすると、上記窒素ガス充填の処理は構成要件Bの嫌気処理に該当するものとはいえず、被告方法において、構成要件Bの嫌気処理に相当するものは、工場搬入後に、茶葉を袋詰し、窒素ガスで充填し、約8時間静置する工程の1回のみであるから、被告方法が構成要件Bを充足すると認めることはできない。

