国際裁判管轄
民訴法3条の6には、1つの訴えで数個の請求をする場合、密接な関連がある場合のみ、日本の裁判所に管轄権を認めています。今回は、子会社への訴えについて、親会社について密接な関係がないと認定された事例を紹介します(令和7年(ワ)第70423号 特許権侵害等請求事件)。属地主義の原則から日本での侵害行為に密接な関連がある場合のみ日本の裁判所に管轄が認められますが、親会社と子会社の関係のみでは認められません。
(要旨)民訴法3条の6は、一つの訴えで数個の請求をする場合、日本の裁判所が管轄権を有する請求と日本の裁判所が管轄権を有しない請求との間に「密接な関連」があるときに限り、当該訴えについて日本の裁判所に管轄権を認めており、また、数人に対する訴えについては、上記の「密接な関連」があることに加え、民訴法38条前段が定める「訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき」、又は「同一の事実上及び法律上の原因に基づくとき」であることを要する。これを本件についてみると、上記第2の4⑵のとおり、原告が主張する被告らによる本件特許権の侵害行為は全く別個のものであるから、同じ本件特許権を侵害するものであったとしても、被告JASMに対する請求と被告TSMCに対する請求が、民訴法3条の6の定める「密接な関連」があるということはできないし、民訴法38条前段所定の要件も充足しない。なお、前提事実⑴ウのとおり、被告TSMCは被告JASMの親会社であると認められるが、当該事実のみをもって上記各要件の充足を認めることができるものではなく、その他、本件全証拠によっても、被告JASMに対する請求と被告TSMCに対する請求が上記各要件を充足することを基礎付ける事実が証明されていると認めることはできない。

