新たな争点の追加
特許権侵害訴訟では、2段階審理(侵害論、損害論)が行われます。損害論の審理の過程で、本来損害論で追加すべき侵害品についても裁判所の判断がなされた事例を紹介します(令和5年(ワ)第9068号 特許権侵害行為差止等請求事件)。損害論の段階で新たに侵害品が追加された場合、時期に後れた防御方法である旨の申し立てをすべきです。
(要旨)被告製品3の本構成要件充足性については、侵害論の時点では明示的な争点となっていなかったが、損害論の審理の過程において、損害論算定の対象製品につき、本件アタッチメント3を備える被告製品3も含まれるとする原告らと、これが含まれないとする被告との間で見解の相違があることが判明し、新たな争点となったものである。特許権侵害訴訟における2段階審理の観点からすれば、本来損害論で充足論に関する争点が追加され、新たな攻撃防御方法が提出されること自体は望ましいものではない。しかし、本件でこのような経過をたどったのは、原告らによる被疑侵害品の特定が十分でなかったこともあり、この点の当事者間の認識が齟齬したままで審理が進められたことに起因する面がある。そのため、この点を争う旨の明示的な主張が損害論の段階で初めてなされたことが、被告の重大な過失によるものと言い切れるものではなく、また、実際の審理としても、この点について時機に後れた防御方法である旨の申立て、指摘等はされないまま、双方ともに主張立証を尽くしたものでもあるため、当裁判所としても侵害論に係る1争点として整理し、上記のとおり判断するものである。

