不正アクセス

不正競争防止法第21条1項には、「不正の利益を得る目的で、又はその営業秘密保有者に損害を加える目的で、詐欺等行為(人を欺き、人に暴行を加え、又は人を脅迫する行為をいう。次号において同じ。)又は管理侵害行為(財物の窃取、施設への侵入、不正アクセス行為(不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第二条第四項に規定する不正アクセス行為をいう。)その他の営業秘密保有者の管理を害する行為をいう。次号において同じ。)により、営業秘密を取得したとき。」、十年以下の拘禁刑若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとあります。

今回は、不正アクセスであるか否かが争点の一つとなった事例を紹介します(令和8年(ネ)第10009号 損害賠償請求控訴事件)。不正アクセスを立証する上で、アクセスログの滞在時間やタイミングが重要となります。

(要旨)控訴人は、同訴訟代理人作成に係る報告書(甲120)によれば、本件各ファイルに本件機密情報が記録されていたことは明らかであるところ、① モバイルログに記録された、被控訴人Y2がモバイル端末からウェブブラウザにアクセスをした日時と、ドライブログに記録された、控訴人において被控訴人による不正なアクセスがあったと主張する日時とが近接していること、② 被控訴人Y 2 の控訴人在職時のアカウント(以下「本件アカウント」という。)を使用して本件機密情報にアクセスをすることができるのは、被控訴人Y 2 のみであること、③ 不正なアクセスにより情報を取得する場合、送信履歴を残さないようにするため、ダウンロードすることなく、閲覧後に文字読取りツール(OCR)を利用して情報を取得するのが一般的であることからすると、被控訴人Y 2 は不正なアクセスにより本件機密情報を取得したというべきである旨の主張をする。しかしながら、証拠(甲33、甲62の2)及び弁論の全趣旨によれば、モバイルログに記録された、被控訴人Y2がモバイル端末からウェブブラウザにアクセスをした日時と、ドライブログに記録された、控訴人において被控訴人による不正なアクセスがあったと主張する日時との間には、0.5時間ないし18時間程度の間隔があることが認められ、控訴人が縷々主張するクラウドサービスにおける情報管理の仕組みやその利用実態を考慮しても、上記日時が近接しているとは到底いえない。そして、本件アカウントを使用して本件機密情報にアクセスし得るのは、被控訴人Y2のみであることや、不正なアクセスにより情報を取得する場合、閲覧後にOCRを利用して情報を取得するのが一般的であることを認めるに足りる的確な証拠もない。そうすると、仮に本件各ファイルに本件機密情報が記録されていたとしても、本件において、被控訴人Y2が不正アクセスにより本件機密情報を取得したと認めるのは困難である。

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