作用効果の主張

構成要件の相違によって作用効果が異なる点を主張することは侵害訴訟では重要となります。今回は、構成要件の差異が作用効果の有無を要件とするものではないとされた事例を紹介します(和7年(ワ)第70116号 特許権侵害差止等請求事件)。弁論の経緯なども考慮して上で作用効果の主張も認められるため、準備書面などでの主張に一貫性が求められます。

(要旨)被告は、被告製品のロータ基板は柱材の配置が不均一であるから、重心が偏心していて振動が発生しやすいとか、立体形状のため空気抵抗の影響を受けやすく、高速では回転させることができないのであって、本件各発明の効果を得られていない旨主張する。しかし、構成要件1B及び2Bは「中空円盤形状」という基板の形状それ自体を要件とするものであって、その作用効果の有無を要件とするものではないから、被告製品のロータ基板が本件各発明の効果を奏するか否かは充足性の判断を左右するものではない。そして、この点を措くとしても、被告製品の仕様上の最高回転数は1分当たり2万5000回転というものであり(甲6)、被告製品のロータ基板はそのような高速回転が可能な程度に重心のバランスが取れているものであって、現に、実際に被告製品を手動で回転させた場合、停止する角度位置はその都度異なること(甲8)からすると、被告製品のロータ基板の重心が偏心しているなどと認めることはできない。また、上記最高回転数に照らせば、被告製品のロータ基板を高速で回転させることができないとの
主張についても、およそ採用の余地がない。この点につき被告は、「本件特許発明の「軸側基板」と被告製品の「ロータ基板」の構成が異なることによる作用効果の違いを主張しているのであり、実際の被告製品のロータ基板において偏心していることを主張しているものではない」とも主張するが(被告第4準備書面〔4頁〕)、従前の被告の主張は「被告製品のロータ基板は、重心が偏心しており、振動が発生しやすく、振動によるひずみが伝播して誤差が大きくなり、…高速では回転させることができない」(被告第2準備書面〔10頁〕)というものであって、明らかに整合しない上、上記認定事実に照らせば、被告製品の「ロータ基板」が本件各発明の作用効果を奏しないとの被告の主張自体、その裏付けを欠くものというべきである。したがって、被告の上記主張は採用することができない。

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