特許権の実施行為
特許権の実施行為は、特許法2条3項に定められています。今回は、特許権の実施行為か否かが争点の一つとなった事例を紹介します(令和7年(ワ)第8962号 損害賠償請求事件)。特許権の実施行為には、自社装置を開発したかのような外観を作出して新聞の取材で説明する行為は含まれないと判断されています。
(要旨)原告は、被告が、本件資料を作成し、それをもとに日刊工業新聞の取材において説明を行った行為が、あたかも被告が自ら本件装置を開発したものであるかのような外観を作出した行為であって、原告の本件各特許権を侵害するものである旨を主張する。(2) この点、まず、原告の主張する被告の行為が特許法の定める実施行為又は間接侵害行為に該当するものではないことは原告も自認するところであり、そうすると、原告において、本件各特許権そのものではなく、本件各特許の実施品たる本件装置を開発したことに関する原告の何らかの人格的利益が、被告によって侵害された旨を主張しているものと理解するほかない。もっとも、原告の主張を精査しても、前記の人格的利益がいかなる根拠に基づいて法的な保護に値するといえるのかが明らかであるとはいい難く、その点において原告の主張は失当というべきである。また、仮に本件装置を開発したことに関する原告の何らかの人格的利益が法的な保護に値するとしても、前記認定事実のとおりの本件資料の構成及び内容に照らせば、本件資料の閲覧者において、本件装置の開発元が被告ではなく、Aや同人に関連する企業であることが認識できるものであったといえるのであって、本件において、被告があたかも自ら本件装置を開発したものであるかのような外観を作出したとの事実を認めることもできない。

