設定登録前の金銭的請求権
商標法第13条の2は、商標登録出願人が商標登録を申請した後に、警告書を提示した場合、商標権の設定登録前に指定商品や指定役務について商標を使用した者に対して、業務上の損失に相当する金銭の支払いを請求できる権利を定めています。今回は、金銭的請求権の要件を満たすか否かが争点の一つとなった事例を紹介します(令和8年(ネ)第10045号 商標権侵害による不法行為損害賠償請求控訴事件)。設定登録前の金銭的請求権は、設定登録後の使用の事実についての請求権とは認められないと判断されています。
(要旨)控訴人は、前記第2の4⑶のとおり、本件警告書は被控訴人Y₂と被控訴人Y₃に対してなされており、警告として十分である旨、商標登録後にも本件商標を使用していた事実があり「商標先願権」を侵害する旨を主張する。しかし、本件警告書の名宛人は被控訴人Y₂と被控訴人Y₃であって、本件警告書には、同人らの本件警告書に対する対応次第では被控訴人関ケ原町の代表者に対し通知をする旨等の記載があり、本件警告書が被控訴人関ケ原町ないしその代表者に対し警告をする趣旨のものとは認められない。また、商標法13条の2は、出願後、商標設定登録前の商標の使用に基づき損失が生じた場合についての請求権について定めたものであるから、登録後の使用には適用がないところ、そもそも控訴人各商標の設定登録後における使用の事実についても本件証拠上認められない。したがって、控訴人の上記主張はいずれも採用することができない。

