プログラムの著作物
プログラムの著作物として認められなかった判決を紹介します(令和 6年 (ワ) 70189号 損害賠償請求事件)。著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであるから、思想、感 情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でないもの又は表現上の創作性がないものは、著作物に該当せず、著作権法上保護されるものとはいえません。エクセルのありふれた機能を用いたプログラムについて、著作物として認定されない事例です。
(要旨)
①製品名のドロップダウンリストを表示する機能に関する部分、②顧客の名前を検索、確定する機能に関する部分
①部分の内容についてみても、証拠(甲14、15)及び弁論の全趣旨によれば、エクセルにおいて標準仕様として用意さ れているActiveXコントロール及びActiveXコントロールのコンボボックスを用いて項目をドロップダウンリストとして選択可能とさせるものであって、これらを使用してフォント名及びフォントサイズをカスタマイズする手法自体は、極めてありふれたものにすぎない。
②部分の内容についてみても、証拠(甲 14、16)及び弁論の全趣旨によれば、エクセルにおいて標準仕様として用意されているユーザフォームのコンボボックスとリストボックスを用いるものであり、コンボボックスとリストボックスを用いてマウスで値を選択させ、リストボックスの項目が選択されたときに実行されるChangeイベ ントを用いることにより、マウスで選択された値を取得することを可能とするものであって、これらの手法自体は、いずれも極めてありふれたものにすぎない。更に念のため、これらの機能に対応するソースコードについてみても、使用されている指令及びその組合せにおいて、原告の個性が表れているものといえないことは明らかである。