明瞭でない記載の釈明
特許請求の範囲の補正について、最後の拒絶理由通知や拒絶査定不服審判時において、特許法17条の2第5項に列挙されたものに限定されます。今回は、4号「明瞭でない記載の釈明」に該当するか否かが争点の一つとなった事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10074号 審決取消請求事件)。明瞭でない記載の釈明については、記載不備などに限られ、審査段階で解消されているはずであるため、認められ難いと思われます。
(要旨)法17条の2第5項4号にいう「明りょうでない記載」とは、それ自体意味の明らかでない記載など、記載上不備が生じている記載であって、特に特許請求の範囲について「明りょうでない記載」とは、請求項の記載そのものが文理上意味が不明りょうである場合、請求項自体の記載内容が他の記載との関係において不合理を生じている場合、又は請求項自体の記載は明りょうであるが請求項に記載した発明が技術的に正確に特定されず不明りょうである場合等をいい、その「釈明」とは、記載の不明りょうさを正してその記載本来の意味内容を明らかにすることをいうものと解される。以上を前提として本願発明に「明りょうでない記載」があるか否かについて検討すると、本願発明は、前記第2の2⑴のとおり「焼結炭化物又はサーメットの基板を含む切削ツールを処理する方法であって、前記切削ツール(1)に、100℃以上の温度にてショットピーニングが行われ、前記ショットピーニングは、加熱された切削ツールに行われる、方法。」とするものであり、これによれば、① 処理する対象が、焼結炭化物又はサーメットの基板を含む切削ツールであること、② 上記①の切削ツールへの処理として、ショットピーニングが100℃以上の温度にて行われること、③ 上記②のショットピーニングが、加熱された切削ツールに対して行われること、が明確に理解できるから、請求項の記載そのものが文理上意味が不明りょうであるとも、その記載内容が他の記載との関係において不合理を生じているとも、発明が技術的に正確に特定されず不明りょうであるともいえず、「明りょうでない記載」が存在するものとは認められないというべきである。

