職務著作

著作権法第15条では、一定の要件を満たす場合に法人等が著作者となる「職務著作(法人著作)」制度を設けています。今回は、職務著作か否かが争われた事例を紹介します(令和7年(ネ)第10085号 著作権侵害差止等請求控訴事件)。会社のパソコンを用いて、業務時間内にやり取りを行いプログラムを作成した職務著作であると認定されました。

(要旨)控訴人は、本件プログラムは、控訴人の発意に基づき制作され、控訴人が自由意思に基づき、就業時間外に自宅で制作したものである旨主張する。しかし、前記引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第4の3⑴に判示したとおり、①被控訴人における経理業務の効率化を目的とする被控訴人社内での検討の中で、市販のアプリケーションを購入、導入する案の一方で、エクセルでの情報処理に通じている控訴人が、いわば内製として、VBAを用いたエクセルファイルで被控訴人の業務に適したプログラムを作成し、これで運用する案を提案したことをきっかけに、控訴人が、本件プログラムの作成に着手したこと、②控訴人が、必要な情報や画像等を、被控訴人代表者等とSlack上でやり取りをしながら収集し、本件プログラムを作成したこと、③本件プログラムを含むエクセルファイルが被控訴人の従業員用パソコンで作成されたこと、④控訴人が本件プログラムのマニュアルを作成し、被控訴人代表者等に内容の確認を依頼したことなどの事実が認められる。これらの事実は、本件プログラムが、控訴人の発意に基づき制作され、控訴人が自由意思に基づき、就業時間外に自宅で制作されたものであるとの控訴人の主張とは整合しない。これらの事実からは、むしろ、控訴人が所属する総務部においても使用される経理システムを導入するとの被控訴人の判断に基づく各種検討の中、控訴人が、被控訴人における業務として、本件プログラムを作成したものと認められるのであり、控訴人が指摘する行為が控訴人の私的な逸脱行為ということはできない

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