延長登録
特許法67条4項には、特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる旨の規定があります。今回は、薬機法の承認内容が、特許発明の実施ができない範囲であるか否かが争点の1つとなった事例を紹介します(令和7年(行ケ)第10059号 審決取消請求事件(A事件)、令和7年(行ケ)第10064号 審決取消請求事件(B事件))。申請に係る医薬品の効能又は効果は、製造販売申請書等を外形的、客観的に定められるべきであり、無効理由はないと判断されました。
(要旨)特許法67条2項にいう「その特許発明の実施」に政令で定める処分を受けることが必要であったというには、当該政令で定める処分によって禁止が解除された行為と、当該特許発明の実施行為との間に、重複する部分があることを要するものと解される。このような場合には、当該特許発明の実施行為は、当該処分を受けるまでの間、禁止されていたといえるからである。…まず、薬機法上、厚生労働大臣が、申請に係る医薬品の効能又は効果として、臨床試験の対象となった特定の具体的疾患についてのみしか承認することができないとする根拠は見当たらない。製造販売承認書及びこれが引用する医薬品製造販売承認申請書の記載に基づき、外形的、客観的に定められるべきであって、原告が主張するように承認申請の意図及び審査の経緯を考慮に入れるべきものではない。本件処分Aは、本件医薬品Aについて、有効成分の成分名を「ルビプロストン」、その分量を「0.024mg」、用法及び用量を「通常、成人にはルビプロストンとして1回24μgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。なお、症状により適宜減量する。」、効能又は効果を「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」として製造販売の承認をするものであり(甲35、36)、本件処分Bは、本件医薬品Bについて、有効成分の成分名を「ルビプロストン」、その分量を「0.012mg」、用法及び用量を「通常、成人にはルビプロストンとして1回24μgを1日2回、朝食後及び夕食後に経口投与する。なお、症状により適宜減量する。」、効能又は効果を「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」として製造販売の承認をするものである(B事件甲49、50)。そして、前記⑴ウのとおり、本件各医薬品の効能又は効果である「慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)」の中には、本件発明の発明特定事項に係る「薬物誘発性便秘」が含まれているといえるから、薬物誘発性便秘を用途とすることが承認の内容に含まれていなかったということはできない。よって、原告の主張する理由1-2によっては、本件各延長登録が、その特許発明の実施に政令で定める処分を受けることが必要であったとは認められない場合の出願に対してされたものということはできない。

