意識的除外

均等侵害の第5要件は、「対象製品が特許発明の出願手続きにおいて特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がないこと」となっています。今回は、意識的除外したとして非侵害と判断された事例を紹介します(令和8年(ネ)第10023号 特許権侵害差止等請求控訴事件)。特許査定を得るために、手続補正書と同時に提出する意見書には本願発明の優れた作用効果も記載しますが、過度に記載しないことが必要です。

(要旨)本件発明2において、ヒータを上部に固定して中空に吊り下げるか、底面に固定して浮かせて中空に配置するかは、当業者が適宜行い得る設計事項であって、本件発明2の本質的部分であるとはいえず、また、出願審査経過において、ボイラーの底面にヒータを固定する構成を、本件発明2の技術的範囲から意識的に除外したことはない旨主張する。しかし、証拠(甲9、10)によると、控訴人は、本件特許2の出願審査経過において、審査官からの拒絶理由通知に対し、特許請求の範囲に「ボイラーはヒータを内蔵してボイラー容器の中空に吊り下げ、ボイラー容器の底面に給湯孔Aと給湯孔Bを設ける、ボイラーの容積は1コーヒーカップの淹れたいコーヒー分量に必要な容積として、コーヒーの淹れ方行程が完了したとき残湯が残らないようにする」との発明特定事項を加える手続補正書を提出するとともに、「引用文献6-8の電気ケトルタイプではボイラー、2個の電磁弁、ドリッパー、コーヒーカップを鉛直的に配置することは大変困難である、さらにボイラーの底面に2個の給湯孔を設けることも困難である。本願発明の[図4]のようにヒータはボイラーの水中に吊り下げるように構成するとボイラー底全面が給湯孔のために使用できるので構成が大変簡単になる。」などと記載された意見書を提出して、特許査定に至っていることが認められる。このような出願審査経過に照らすと、控訴人は、少なくとも、ヒータがボイラーの底面に接触して固定されている構成については、本件発明2の技術的範囲から意識的に除外したものとみるのが相当である。被告製品におけるヒータが、ボイラーの底面に沿う形でボイラー底部を2周する上面視円状に構成され、ボイラーの底部に接触して固定されていることは、当事者間に争いがない。したがって、被告製品が、本件発明2と均等なものとして、その技術的範囲に属するということはできない。

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