サポート要件

特許補油第36条第6項第1号は、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであることを規定する特許要件(サポート要件)です。今回は、サポート要件違反が争点の一つとなった無効審判事件を紹介します(令和7年(行ケ)第10080号 審決取消請求事件)。

(要旨)原告は、前記第3の2のとおり、「走査解除」との用語をもって、直ちに「光が走査されている状態を走査されていない状態に戻す」ことを意味するとは解されず、本件走査解除手段は発明の詳細な説明に記載されていないと主張する。しかし、本件発明10の特許請求の範囲及び本件明細書の記載によれば、「走査手段」とは「励起光束を走査移動させることができる」ものであり、「走査解除手段」は「前記走査手段と同期的に作動する」ものである(【0044】)から、「走査手段」の走査の対象は光であり、「走査解除手段」の走査解除の対象も光であると解される。そうすると、「走査解除」とは、「光が走査されている状態を走査されていない状態に戻す」ことを意味すると解することができる。そして、本件明細書には、「もう1つの実施例において、図6に示すように、多光子走査画像化の構造を用いた。…多光子励起光を発生可能なパルス励起光4は、…二次元走査手段5に入射し、対物レンズ10の後に、検出方向に垂直な平面において走査するスポット状励起を発生させる。リレーレンズ6、7は、ガルバノミラー5を対物レンズ10の後側焦点面に共役させるためである。反射鏡8、9は走査線をねじり回し、空間的にコンパクトにするためである。ただし、反射鏡9は、長波長側の光を通過させるダイクロイックミラー(dic
hroic mirror)である。…」(【0052】)、「図6に示すシステムと類似し、顕微鏡画像化分野の専門家によく知られているように、励起装置1及び検出装置2が共用する先端部分素子は、対物レンズから走査手段まで含み、その後、分離されている検出部分において試料と共役する位置に共焦点ピンホールを更に設けることにより、共焦点走査型画像化の構造を構成することができる」(【0055】)と記載されているところ、これらの記載から、当業者は、共焦点走査型画像化の構造の顕微鏡は、励起光路においては、パルス励起光4が2次元走査手段5で走査され、走査された光(走査光)が、リレーレンズ6、7、反射鏡8、9及び対物レンズ10を通って試料に照射され蛍光を励起し、検出光路においては、当該励起された蛍光が、対物レンズ10、反射鏡9、8及びリレーレンズ7、6を通って、2次元走査手段5で走査され、その後、分離された蛍光が、共焦点ピンホールを通り、カメラ13で検出されるように動作させる構成を理解できるといえる。そうすると、当業者は、本件走査解除手段が、走査手段と同期的に作動しつつ、光が走査されている状態を走査されていない状態に戻す手段であり、具体的には、検出光路と励起光路において共用される2次元走査手段5がこれに該当し得ることを理解することができるから、本件走査解除手段は、発明の詳細な説明に実質的にも記載されているといえる。

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