商標類否判断事例NO35
指定商品第10類「業務用美容マッサージ器等」の下記2段書き登録商標と被告標章「IW波」とが非類似と判断された事例を紹介します(令和7年(ワ)第10447号 不正競争行為差止等請求事件)。2段書き商標の上段がローマ字2文字に波の漢字を組み合わせたものであり強い識別力を与えるものでないことから、分離観察できず非類似と判断されました。
(要旨)原告商標1は、別紙原告商標権目録(1)記載のとおり、大きなフォントの「IW波」との文字(上段部分)と小さめのフォントの「Inter Widened Wave」(下段部分)の文字列の二段から成る結合商標であり、大きめのフォントで強調された上段部分の「IW波」が、下段部分の「Inter Widened Wave」の文字列のそれぞれの頭文字を取った略称となっている。このような構成に鑑みれば、原告商標1は、上段部分と下段部分の結びつきが強く、需要者に対しても一体のものとの印象を与えるから、原告商標1と被告標章1の類否を判断するに当たっては、二段併記された原告商標1を一連一体のものとして把握し、その構成部分全体を対比するのが相当である。この点、原告は、原告商標1のうち大きく目立っている上段部分の「IW波」を分離観察すべきである旨主張する。しかし、「IW波」は、上記2(1)で説示したとおり、ローマ字2字に「波」の漢字を組み合わせたものであり、それ自体に強い識別力が伴うものとはいえない一方、下段の「Inter Widened Wave」の文字列は、辞書に掲載されるなど一般的に認知されている波の名称等ではなく、相応に強い識別力を有するものといえるから、文字の大きさの違いを考慮しても、上段部分が需要者に対して出所識別標識として強く支配的な印象を与えるなどということはない上、上記のとおり、上段は下段の略称という関係性もあるのであるから、上段部分のみを分離して、商標の類否を判断することは許されない。原告の上記主張は、採用することができない。これを前提に、原告商標1と被告標章1(「IW波」)を対比すると、原告商標1は上記のような上下二段表記の結合商標であるのに対し、被告標章1はローマ字2文字及び和文字1文字の組み合わせで、外観及び称呼上、類似しないことは明らかであるし、観念上も、両者は何らかの「波」であるという限りにおいて共通するものの、原告商標1が「Inter」や「Widened」といった英単語の意味内容に伴う観念を想起させるのに対し、被告標章1の「IW」の部分は特定の意味内容を有するものではなく、両者は観念においても相違するものといえる。


