商品等表示・品質等誤認惹起

不正競争防止法第2条第1項第1号は、「他人の商品等表示として需要者に広く認識されているものと同一または類似の表示を使用し、混同を生じさせる行為」を不正競争行為として規定しています。不正競争防止法第2条第1項第20号は、「商品や役務の品質・内容等について誤認を生じさせる表示」を不正競争行為として規定しています。今回は、商品等表示に該当せず、品質等誤認惹起行為にも該当しないと判断された事例を紹介します(令和7年(ワ)第10447号 不正競争行為差止等請求事件)。ローマ字2文字+漢字1文字の標章は、出所表示としての実態を有するに至りにくいと判断されています。

(要旨)「IW波」の語は、「I」「W」のローマ字の2字に、波や波形といった対象との関係では普通名称たる「波」の字を組み合わせたものである。一般に、ローマ字の2字からなる標章は、極めて簡単で、かつありふれた標章と解されることに加え、普通名称の部分に識別力はないと解されることからすると、これらを組み合わせた「IW波」との文字列自体は、識別力がないとまでいうかはともかく、さほどの識別力を伴うものとはいえず、出所表示としての実態を有するに至りにくいものといわざるを得ない。…したがって、「IW波」との文字列は、不正競争防止法2条1項1号所定の商品等表示に該当せず、その余の争点について判断するまでもなく、同号所定の混同惹起行為があったとする原告の主張は採用することができない。

被告標章2の「S.IW波」という語自体は、ローマ字の大文字3字とピリオドに、「波」の字を組み合わせたもので、一般に知られた英単語などではないため、需要者にとって、何らかの波の名称ないしその略称である程度が観念されるにすぎず、特定の品質・内容を想起させるものとはいえない。他方、原告は、「S.IW波」との語が、「IW波」との部分を含み、これに「S.」との文字列を加えたにとどまる上、「IW波をさらに進化させた」との記述もあるため、原告商品が出力する「IW波(Inter Widened Wave)」と同種の波形を出力する旨需要者を誤認させる旨主張する趣旨と解されるが、前記1で認定したとおり、被告商品の説明において、「S.IW波」の文字列のうち「IW波」の部分が、原告商品の出力する波形である「Inter Widened Wave」(ないし、その誤記と考えられる「interwind wave」)の略称である旨の言及がされているわけではないこと(認定事実(2))、他方で、前記2でも論じたとおり、「IW波」はローマ字2字と普通名称からなる文字列で、波の種類等を十分に識別できるものとはいえないこと(例えば、被告の主張するとおり、干渉波の英語表記である Interference Wave の略称としても、了解可能ではある。)、被告ウェブサイト(甲19)では、「S.IW波」について、「S.IW波とはシングル回路で中周波をスイープさせることで表皮部である基底細胞、真皮部である基底層、繊維芽細胞のさらにその奥にある表情筋まで深く届き、効果的にエクササイズを働きかけるMAGIC LIFTならではの波形です。(特許出願中)」と説明されており(認定事実(2)イ)、その説明は、原告商品の「IW波」の説明に係る記述とは異なっていること(認定事実(1)ア)からすると、「S.IW波」の文字列(被告標章2)をもって、原告商品の出力する波形と同種のものである旨の表示がされているとまではいえず、この意味においても、商品の備える品質等を誤認させる表示とはいえない

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