秘密管理性
秘密管理性とは、不正競争防止法2条6項が定める「営業秘密」の3要件の1つで、企業が情報を秘密として管理していることが客観的に認識できる状態を指します。今回は秘密管理性が争点の一つとなった事例を紹介します(令和6年(ワ)第70159号 不正競争行為差止及び損害賠償請求事件)。少なくとも営業秘密が含まれる情報は、「社外秘」と明記する必要があります。
(要旨)契約上の措置についてみるに、原告就業規則においては、「業務上の機密及び会社の不利益となる事項を他に漏らさないこと」と定められているが、秘密として管理する情報を特定するための規定としては概括的かつ抽象的にすぎる。また、被告A入社誓約書及び被告B退職誓約書並びにB取得行為の約6年前の本件研修の資料(甲5の2)も、被告B取得行為のあった令和4年9月時点でアクセス権限を有する従業員に対し、秘密として管理されていることを容易に認識し得る措置が執られていたことを裏付けるに足りるものではない。エ さらに、本件各情報の重要性についてみるに、本件情報1及び2は令和4年5月及び6月に作成された本件文書1及び2に記載された材料単価や利益率であるが、本件文書1及び2のファイル名や体裁等からはこれらの情報が最終版であるのかが不明である。また、一般に、材料単価及び利益率は、同種の工事であっても、工事の時期、場所及び材料の種類等によって変動するものであると考えられ、材料単価や利益率に係る情報であるからといって一律に重要性が高いとはいえないはずである。そして、本件文書1及び2の保存状況が前記イのとおりのものであり、本件各文書には秘密であることを示す表示がなく、本件情報1及び2が60頁を超える文書の一部に記載されていたものであったこと(認定事実ウ)からすれば、本件情報1及び2について、アクセス権限を有する従業員において、その内容から当然に秘密とすべきであると容易に認識し得たとは認められない。本件文書3~5についても同様の保存状況であり、秘密であることの表示がないところ(前記イ及び認定事実ウ)、本件情報3〜5について、アクセス権限を有する従業員において、その内容から当然に秘密とすべきものであると容易に認識し得たことを認めるに足りる証拠は見当たらない。エ 以上によれば、本件各情報が「秘密として管理されてい」たとの原告の主張は、採用することができない。

